会社でも3ds値下げの話題で持ちきりだった。
他社の製品を悪くいうのもあれだが、3dsはゆっくり死んでいくハードにしか見えなかった。
それは任天堂を象徴している、というよりも、家庭用ゲーム業界を象徴しているように見えた。
WiiUが出ようとVitaが出ようと、85円のスマホアプリで延々時間が潰せるこの時代に、仮にスマホアプリの10倍のボリューム、面白さがあったとしても5年毎に何万円もするハードを買って、さらに1本5800円のソフトが受け入れられるという市場なんて維持できるはずがない。
僕がいるこの業界は成長どころか現状維持すら難しい。
自分の生活に直結する未来だけに、悲しいけど目を背けるわけにはいかない。
苦しい未来が確実だけど、なんとか後5年踏ん張る為にはこの決断もやむなし。
早期に購入したユーザーの持つ3dsをただのゴミにしない為の決断でもある。
それにしてもこの1年、任天堂への印象は悪くなるばかりだ。
今回の件は25でも売れるはず!と考え、ソフトでも「ハードでも」利益をだそうとした任天堂の時代錯誤の相場観が招いた騒動であるのは間違いない。
魅力的なコンテンツが揃う前に発売した経営判断も悪かった。
遊びたいソフトの無いハードっていう印象を与えてしまった。その印象は新規ユーザーを遠ざけ、さらなる市場の冷え込みを招いた。
DSで新規ユーザーの開拓をした任天堂。
市場は盛り上がりゲームビジネスの何度目かのバブルを目の当たりにさせてもらった。
その時の成功体験を今でも引きずっているのは明らかだった。
株主総会の議事録を読んでも、海外での社長講演を聞いても、任天堂は相変わらずゲーム人口の拡大を謳っていた。
じゃあ先の5年でやってきたことは何だったのか。いつまでもゲーム人口拡大!ライトユーザーにもゲームを!と叫ぶ彼らの姿は、砂漠の中に見つけたオアシスから一歩も出ない旅人にすら見えた。
それはもう旅人とは言わない。